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イマジネーション広がる、nuicoのユニークな人形たち

2009年12月07日15時01分

「するするって針を抜く瞬間がたまらなく気持ちいいんですよ」


ブルドック専門ショップのオーナーからの依頼で作った作品。
―nuicoさんの作品は、発想がおもしろいですよね。昔からユニークだって言われてましたか?

それはあるかもしれないですね。ちっちゃい頃、衝撃的だったのが、みんなクマの色を茶色で塗っていたのに、私は虹色に塗っていたので「どうしたの?」みたいな目で見られて。あと小学生のとき、ゴッホが耳を切った話を読んで、「それくらい不幸じゃないとアーティストにはなれないのかな」とか思ったり(笑)。「友だちも作らないほうがいいのかな」とか(笑)。でも、それだと社会で生き残っていけないから、やっぱり社交性はちゃんと身につけなくてはって。

―自然と周りの人とは、違う路線を好んでいそうですね(笑)。

たしかに、アンパンマンよりもセサミストリート、リカちゃん人形よりもレゴのほうが好きでしたけどね。

―では、今まで作ったもので強烈だったものは?

やっぱり、革新的だったのは、筋肉質の「HYPER HERO」。人形だけど、かわいくないっていう境地に辿り着けたのは私だけなんじゃないかと(笑)。かわいくておどろおどろしいっていうのはあると思うんですけど、「かわいい」を除外して、「おどろおどろしい」だけですからね(笑)。

―たしかに新しいですね(笑)。ふだんから毒があるものが好きですか?

たぶんそうだと思います。でも最近は年もとってきたから、前ほど過激なものってよりは、弱い雰囲気のものの方が気になるかもしれないです。例えば、刺繍だけど、素材自体はリネンというナチュラル系の人が好む素材にして、ケミカルな蛍光の刺繍を入れるとか。部分的にはやわらかくてやさしいけど、もとはケミカルなものが好きなので、それをプラスしていく。年々ナチュラルなものが好きになってくのは、おもしろくないなと思って。


(左)2009年の展示で制作した人形の一部。陶器製の顔部分は、陶芸作家・前田美絵氏に依頼し作ってもらった豆皿。
(右)2008年、『YAB-YUM boutique』のために制作・展示した等身大の人形の顔は、未来の人間をイメージ。

―とがっていかないとダメなんですね。

たまに自分を振るい立たせるために、とがったものも作りつつ。同時にナチュラルなものと、性格は奇抜だけど、自分で紅茶染めして作るような、ちょっとやさしめな風貌の人形も作るという。

―奥が深いですね(笑)。作っていて、楽しいところは?

するするって針を抜く瞬間がたまらなく気持ちいいんですよ。かすかに糸が引く感じや、手応え。たぶん手芸をやっている人ならわかると思います。あとは立体同士を縫い合わせているとき、角度によって見え方も違うから、思いも寄らぬ角度でくっついた状態をみると我ながら天才だなあ、と(笑)。二度とその形でくっつけられないので。

―まさに手づくりだからこそ、ですね。では、これから作ってみたいものは?

ずっと作ってみたいと思っているのは、団地のロボットシリーズ。変なところから色が切り替わっている、四角い建物っていっぱいありますよね? あれのロボットを作りたいなって。マップを作って、巨大な建物がそこに建っているようなイメージです。ただ、展示はもうちょっと有名になって、がんばっていい場所でやりたいですね(笑)。あとはセットも作りたいです。子供番組のソファとか、全部がやわらかいセットを。卒業してから巨大なものが作れなくなったので、4メートルくらいの恐竜とか、とにかく大きいものを作りたいですね。


(左)今年5月にできたアートスペース「TABLOID」のオープニングで展示した作品。
(右)2008年春に手がけた、青山のショップ『LOVELESS』のディスプレイ。春になり、冬眠から目覚めかけの動物たち。


(取材/田辺香)


nuicoさんから提供いただいたハンドメイドレシピ


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