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布から広がる、暮らしに寄り添った服づくり―ようさん工房

2009年10月31日07時01分

「作るのが好き、それだけなんだと思います」


ユーズドの生地を使った、ウサギ型バッグ「u-bag」。
目の部分がシリアルナンバーになっている。
―工房はショップも兼ねているんですか?

いえ、初めは両方できたらと思ったんですが、工場に出さず、自分しか作業をする人がいないので、接客しながら作るということができなかったんですよね。だからお店はやめて工房だけにしました。今はファッションショーの後、1ヶ月だけお店を開いて、お客様にコレクションと小物を見に来ていただいています。商品は作ったら売ってそれっきり、一点ものということが多いです。同じ生地がストックであった場合、何個か作る、ということもあります。

―すべて1人で、というのは大変そうですね。

もう意味が分からないくらいです(笑)。でも自分で言うのも恥ずかしいのですが、作業をすることに対して何か尊いものを感じているというか、作業することによってでしか得られない充実感があるんです。コレクションを作るのに煮詰まったときに、小物を作って気分転換をする感じです。作るのが好き、それだけなんだと思います。毎日する作業でいろんなことを考えたり、積み重ねていくことによって見えるものがあると思います。

―話は戻りますが、最初の頃の服づくりはどんなものだったのでしょう?

中学生の頃は、父親のシャツの下部分を切って、2枚を繋げてワンピースを作ったりしていました。今もお直しという感じでリメイクをしていますが、もともとは古いものの寿命がもう少し延びればいいなという思いがあって、大学卒業の際の制作発表でもリメイクファッションショーをしたくらいなんです。古いものを新しく作りかえるということには、すごく興味があります。

―その点は今もずっと続いているのですね。ようさんの生地選びはユニークだと思うのですが、何かこだわりがあるのですか?

実を言うと、反物で買ってくるというより、使わない布がいろんなところから回ってくることが多いんです。そこから知恵を絞って、染めたり、何か手を加えて使っています。先日の東京の展示会では、知り合いの染色工房の方と一緒に企画展のような形で、白い布に染めをお願いしました。使われない布に何とか手を加えることで、誰かに喜んでもらえたら、という気持ちはあります。


2010年8月に東京で開催された個展の様子。洋服やバッグ、小物など多数の商品が並んだ。

―小物づくりもそういう気持ちから?

そうですね。ハギレは捨ててもいいのですが、アイデア次第で喜んで使ってもらえる可能性があるのならば、手を加えたいなと。でもそれにとらわれると疲れてしまうので、できる範囲で作ることを心がけています。今年からはハギレをパッチワークして、大きいものをよく作っています。

―幅広いものづくりをされていますが、アイデアはどこから?

私の作品で1番ベースになっているのは、普通の生活。だから朝に、通勤途中の人からキャッチすることが多いです。生活の中で実際にみんなが使っているもの、服装や持ち物からアイデアをもらいます。干してある洗濯物が変わった形に見えて、ああいう服素敵だな、と思うこともあります。


(左)工房の窓から見える、お気に入りの風景。
(右)趣味は小説を読むこと。自作のブックカバーに入れて。

―最後に、今後やっていきたいことを教えてください。

まずは着てくれた人が生活の中で、勇気や元気をもらえたり、こういう風に生きたいと思う気持ちを表現できる服を作りたいです。その人の気持ちに添う、影武者のような存在になれるものを作れたら、本当に最高だなと思います。今後は、服を着ることでエレガントで素敵な気持ちになれるものを作りたいですね。パーティードレスなど、特別な日に着ていい気持ちになれる、どういうものがエレガントなのか、少しずつ考えるような服を作りたいと、最近思います。それから子供服も作りたいし、リサイクルショップも開きたい……やりたいことがたくさんありますね (笑)。


(取材/赤木真弓)

ようさん工房 百瀬陽子さんから提供いただいたハンドメイドレシピ


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