日常をちょっと変えるようなひとときを―社団法人 日本手芸協会
2009年11月01日04時01分社団法人 日本手芸協会/Japan Handicraft Association
2010年2月、平林理恵、野下はるみにより一般社団法人として設立。作家による手芸教室やワークショップを通じて、個人的な手仕事から共通の趣味を持つ人々の手芸のネットワークを作ることや、個人では考えつかない新しいアイデアや技術の向上を提供すること、そして手芸を通じて楽しい時間を共有することなどを目的とした活動を行っている。また、広く世の中の人々に知ってほしいと思う作家や作品を積極的に紹介している。ホームページ:http://shugei.or.jp
手芸を人生のスパイスに
外間宏政さんによるテディベアレッスン。
野下 私たちは古い友人同士で、将来ライフワークにできる仕事、好きなことを続けられるような仕事を見つけたいと考えていたんです。2人とも手芸が好きだったので、手芸のネットワークをさらに広げるために、場所を作らないといけないのではないかと思い立ち、まずはみなさんが集まってこられる母体を「日本手芸協会」という名前で設立しました。5月にホームページを立ち上げ、8月から教室をスタートしました。
平林 教室に来られる方を見て、運動が好きな方が仕事の後にヨガなどをしてストレス解消をするように、手芸に興味のある方がこちらに来てリラックスできることを実感しました。手芸がその方にとって人生のスパイスのような存在になれるように、手芸を普及できたらと思いますね。
野下 日常をちょっと変えるようなひとときを見つけていただきたいし、私たちもそういう時間を一緒に共有したいです。ネットで見るのと実際に作品を見るとでは全然違うので、1人でも多くの方に作家さんの作品を見てほしいという気持ちで始めたということもあります。
―生徒の方は、やはり女性が多いのですか?
野下 そうですね。今のところは先生もテディベアの外間宏政さん以外は、すべて女性です。年齢的には20代前半から30代後半の働く女性が多く、平日の夜と週末のレッスンが人気です。
―教室はどんな内容なのでしょうか?
野下 私たちは場所をお貸しするだけで、すべて先生に決めていただいているため、先生によって人数も内容も違います。先生の世界観を共有して好きになっていただきたいので、レッスン中にかけるCDや机のレイアウトなど、場所づくりから自由に使っていただくようにしています。
―生徒さんだけでなく、先生にとっても有効な場所となっているのですね。
野下 そうなっているといいですね。普段は家で教えていらっしゃる作家さんも多いのですが、別の場所で教えることが新鮮かもしれないし、通ってこられる生徒さんも違うので、新たな出会いも生まれるかなと思います。手芸協会のアイコンは鳥なのですが、「お話しながらみんなで輪になって手芸を楽しみましょう」というのがコンセプトでもあるので、教室がそんな場になっていればいいなと思います。先生はみなさん、ものを作るためのコツやヒントを惜しみなく教えてくれていますし、楽しいレッスンにするためのホスピタリティを感じますね。
教室に使われるスペース。先生による世界観を出すため、壁や机は白くしているそう。 |
―教室に来ることで、作品の魅力だけでなく、作家の方々の人柄も感じられるのですね。
野下 そうなんです! 例えば、ある先生は外国製の糸見本や布見本をお店のように何十種類も並べて、そこから自由に選べるようにしています。生徒さんはカルチャースクールのイメージで来られていて、まさかそこまで用意されていると思わないので、まずそのセッティングに驚かれますね。先生が自分では買えないような材料をたくさん持ってきてくださるので、レシピは先生のものだけど、完成品は自分だけのオリジナルになるんです。一度レッスンに来てくださった方は、今度その作家さんが別のアイテムのレッスンをされる際に、きっとまた来てくださるだろうなという感じがすごくします。
―日本手芸協会として心がけていることは?
野下 プログラムをかっちり決めずに、リラックスできることを心がけています。笑いの起こるような和やかで楽しいレッスンをしているので、どのレッスンのときにも、生徒さんたちから「楽しい!」という言葉が聞こえてくるんですよね。お仕事の後、ここに来て一つのことに集中して、お話ししながら場の空気を楽しんでくださるのが、プラスアルファになっている気がして。ここで初めて顔を合わせた方同士が、すぐにこの場を共有している感じがするんです。また、仕事帰りにも手ぶらで来ていただけるように、最低限の道具も用意するようにしています。