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色の美しさを追求して―こだま亭・こだまあゆみさんの型絵染め

2009年11月01日18時01分
透明感のある色の美しさに魅かれ、染色の世界へ足を踏み入れた「こだま亭」のこだまあゆみさん。「型染め」の染色技術や色の美しさを、手ぬぐいやランチョンマット、カードなどへと、布や紙小物を使って表現。「みなさんに身近に感じてほしいから」と教室も主宰しているこだまさんに、型染めの魅力についてうかがいました。

こだま亭 こだまあゆみさん/Ayumi Kodama

短期大学の造形芸術科でイラストレーションを専攻。荻野美穂子氏の型絵染めアトリエにて、アシスタント兼研究生として2年間の勤務後、大阪、京都、東京などで個展活動をスタート。現在は大阪市内にアトリエを構え、型絵染め教室を主宰。出張教室も行っている。
作品は、東京のブックギャラリー「ポポタム」、大阪の「「ギャラリー&ティールームErio」、京都の「小さい部屋」、沖縄・石垣島の「中村ざっか」、「なかなかや」などで取り扱い中。
ホームページ:http://kodamatei.com/

言葉にならない伝えたい気持ちを「型絵染め」で表現することが楽しい


新作の暖簾「アスパラ畑」。自分が小さくなってアスパラに登り、
てっぺんに立ったら気持ちいいだろうな……というイメージから生まれた。
―「こだま亭」を始められたいきさつを教えていただけますか?

それまでは個展を中心に活動してきたのですが、アトリエを持ち「染め」を仕事にすることを考えたことがきっかけです。「こだま亭」として、生活の中で使えるモノを制作し始めました。

―「型染め」というジャンルに向かったきっかけは?

最初は、型染めにはまったく興味がなかったんですよ(笑)。短期大学で私はイラストレーション科を専攻し、染色を専攻している高校時代の同級生がいたので、染色がすぐそばにあったのですが、本当に興味がなくて……。染色のイメージがどうしても和装、着物に繋がってしまい、当時の私には縁遠いものだったのです。あるとき、学校の先生に「自分に合った表現方法を見つけてください。何でもいいから人がやっていないことで表現をしてみてください」と言われ、いろいろ模索し始めたんですね。それで、立体や銅版画やシルクスクリーンなど、さまざまなことをやってみたんです。

そんな中、表現方法として、自分は色の美しさを表したいんだなあってことに気づくようになりました。その手段として「織り」もやってみました。糸を織っていくのはとっても楽しかったのですが、「織り」の世界も奥が深く、そこで自分を表現するのは難しいと悟りました。もう少し、違った形で自分らしいモノづくりはないだろうか? そう思ったとき、染めの色の美しさに魅かれている自分に気がついたんです。例えば、イラストレーターが自分の絵を書くとき、色の表現ツールとしてコーヒーを絵の具として使ったりすることがあるでしょう? それと同じように、色の表現方法として「染め」に魅かれたんです。

―自分に合う表現方法を探していたら、型染めに辿りついたというわけですね。

はい。学校を卒業して、ディスプレイの仕事を少し経験し、カラーコーディネーターの勉強をしたときに、日本の伝統色を知りました。「モノづくりが好き、色が好き」と自分の興味の幅が絞られてきたとき、専門誌で「型絵染め」のアシスタントの募集記事が目にとまりました。それが荻野美穂子先生のアトリエだったのですが、そちらで2年間勉強させていただきました。


(左)糊置きの作業工程。下絵を描き、型紙を彫り抜いて紗張りをした型紙を染める布の上に置き、防染糊をヘラで置く。
(右)糊を置いた部分は防染めされ、染め抜かれる。糊を置いた部分以外に好きな色を染める。

―ちなみに「型染め」と「型絵染め」の違いとは?

伝統的な古典文様を分業で制作されるのが「型染め」で、私は技法を説明する時は「型染め」という言葉を使用しています。「型絵染め」は、一人の作家が下絵から全工程をこなす場合に使用しているので、自分の肩書きを説明する時などに「型絵染め」という言葉を使用しています。でも、「型染め作家」として活動している方もいらっしゃいますし、全ての人に統一されている言葉の分け方ではないようですね。

―なるほど。こだまさんは2年間勉強されたあと、独立を?

そうですね。2年間アシスタントをさせていただいて、その後、「染め」だけで生活していけないけれど、それでも制作活動をするかどうか迷いました。今後どうしようかと考えていたとき、本の装丁をされている憧れの型絵染め作家の望月通陽さんにお会いする機会があったんです。望月さんに会えた嬉しさと感動で、「私はまだたった2年しか経験していないのに、悩んでいる場合じゃないな、とにかく一から自分でやってみないと」って思って……。そこからコツコツと自分の作品の制作活動をスタートさせました。迷っていたおかげで、「なぜ私は制作したいのか」が分かった気がしましたし、その気持ちが原点となっています。いまは、言葉にならない伝えたい気持ちを「型絵染め」で表現することが楽しいですね。

―最初はどんなものを作られましたか?

和紙のカードを制作することからスタートしました。カードだと、そんなに大きな場所もいらないですし、時間もかからないので。

―そこから始まって、現在はラインナップも広がっていると思いますが、作品にはどんなものがありますか?

日常使いのモノとして、風呂敷やてぬいぐい、暖簾、ランチョンマットなどがあります。あとは、カードなど和紙を染めたものなどですね。


(左)作品のランチョンマット。
(右)作家活動を始めたころのカード。「和紙の繊維に染みわたる染料の色の美しさが好き」とこだまさん。


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