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色の美しさを追求して―こだま亭・こだまあゆみさんの型絵染め

2009年11月01日18時01分

透明感のある染めに仕上がるのが大好き


「地入れ」の作業。染料を布に均一に染められるようにと
染まり付きがよくなるように、下地剤を刷毛で塗布する。
―型染めの魅力はどんなところですか?

さきほどもお話しましたように、色の美しさがいちばんでしょうか。制作活動を始めて、最初は手漉きの和紙を染めていたのですが、やればやるほど和紙に染まる色が好きで。触ってしっくりくるものを選んで、染めるようにしています。私は染料を使っているのですが、染料で染めると、和紙の繊維1本1本が染まっていき、透明感のある染めに仕上がるので、大好きなんです。染料にはいろいろこだわり、染めるものも和紙をはじめ、綿や絹の生地などにもこだわっています。

―作家さんであると同時に職人さんとしてのイメージも強いのですが、技術習得も難しかったのでは?

それは、荻野先生のところでみっちりと勉強させていただきました! 型染めは、仕上げるまでの工程には技術が必要です。大きな工房だと、型をデザインする人、染める人、洗いはりをする人など、工程によって、その工程のエキスパート、専門の職人がいらっしゃるんです。湿度や天気なども見ながら微調整したりと、まさしく熟練の技。極めるには時間も必要なんですよね。

―技術力と表現力が背中合わせという印象です。図案などは絵を描くようなニュアンスもあれば、グラフィックのデザインのようなイメージもありますね。

そうですね。わたしは、絵本や物語が好きなので、そういうストーリーの中から受けたイメージを型にして表現したりしています。例えばミヒャエル・エンデの『モモ』の登場人物である道路掃除夫のベッポさんを型にして、さらにそのベッポさんのモチーフをグラフィカルに用いて、デザインしたりもしています。型をつくるのは、絵を描くのとはまた少し違ったアプローチだなって思います。なるべく説明的な線を出さないよう、ムダな線を排除して型絵を作成するので。単純なライン、面で表現するのは、簡単なようで難しいのですが、それが型絵の醍醐味だと思います。また、型は繰り返し使えるので量産も可能なんです。もちろん量産するには、安定した仕上がりを求められますので、その部分の技術力は必要ですし、日々鍛えられ、勉強している気がしています。

私の場合、たまたま色を表現するための手段が「型染め」という伝統的な手法だったんですね。型染めの世界は決まりごともあるけれど、「難しい」と思ってしまうと遠のいてしまうので、みなさんも一度チャレンジしてみてほしいです。百聞は一見にしかず。楽しいですよ。


(左)型絵染めしたふろしきを結んで、バッグ風に。
(右)りんご柄とアスパラ柄がかわいいランチョンマット。

―いまは、どんなモノを制作していますか?

着物の半襟のデザインを考えています。着物って縁遠いものだったのですが、最近は少し興味を持つようになりました。

―今後の目標を教えていただけますか?

個展活動を行って、作品制作を続けていく部分と、オーダーメイドの受注などもやっていきたいと思っています。あと、教室は、「型絵染め」の魅力、そしてオリジナルアイテムをつくることの喜び、楽しさを感じてもらえるモノづくりの場でありたいと考えています。型染めのことを知らない方にも、少しずつその魅力を伝え、技術の提案をし、チャレンジしてもらい、生活の中にさりげなく取り入れてほしいです。

―「型絵染め」の作品が生活に身近になるといいですね。

そうですね。ギャラリーERIOさんが企画している、図書館や病院のロビーなどで型絵染めの作品を展示してもらう活動などもしていますので、身近に感じていただく機会も多くなるのではと思います。

(取材/いなだみほ)



こだま亭 こだまあゆみさんから提供いただいたハンドメイドレシピ


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