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東欧の手仕事、その背景と世界観を伝える小さな出版社「Bahar」

2010年12月03日10時01分
東欧の手仕事に魅せられ、その民族衣装や伝統的な刺繍からヒントを得て、本と雑貨を制作している「Bahar」の春日一枝さん。東欧の小物や自らの作品で鮮やかに彩られたステキなアトリエにおじゃまし、明るくて気さくな春日さんに、楽しいお話をたくさん聞いてきました。

Bahar(バハール)/春日一枝さん Kazue Kasuga

本と雑貨の小さな出版社
福井県武生市(現越前市)生まれ。編集プロダクションを経て、フリーランスの編集者に。雑誌、手芸の書籍の編集を行う。2010年春、ルーマニア、ハンガリーの刺繍などの手仕事をテーマに、小さな本や手芸キット、雑貨を制作する「Bahar」として活動を開始。本はこれまでに『ハンガリーそしてルーマニアへ 刺しゅうをめぐる旅』、『ハンガリーのテーブルから』、『ハンガリーのクリスマス』を出版。今年、『ハンガリーのピクニック(仮)』を発売予定。
ホームページ:http://bahar.bz/

民族の誇りや、祈りを感じられる装飾に惹かれて


トランシルヴァニア地方の民族衣装をヒントに作った
『スカートふうバッグ』と『ベストふうバッグ』。
―春日さんは、子どもの頃からずっと手づくりが好きだったのですか?

ええ、そうですね。いきなりですけど、これが出てきたのでお見せしたいなと思って。学研の手芸雑誌『ピチ』です(笑)! 表紙はまだ高校3年生の藤谷美和子さんですよ。

―わ~、すごい(笑)。年季が入っていますね!

子どもの頃のバイブルだったので。私にとっての原点というか、これで育ってきたんですよね。大好きで、読み込んでいました。

―今見るとまた新鮮ですね。

小学校高学年くらいの血気盛んな当時は、『ピチ』を見ながらセーターとかいろいろ、はりきって作っていましたね。作るなら大物!って感じで(笑)。

―やはり昔からつくることがお好きだったんですね。でもお仕事としては、手づくり作家さんでもありますが、もともと編集者でいらっしゃいますよね。編集者になられた経緯というのは?

福井でOLをやっていたのですが、漫画家になりたくて東京に出てきて、漫画系の編集プロダクションに入りました。でも、漫画家は、相当の覚悟と才能がいるという現実と、身の程を知り、漫画家への夢は、夢のままでしたね。

―そうだったのですか。その編集プロダクションではどんなことを?

少女まんが雑誌で、例えば「○○先生と、○○に突撃取材!」という企画ページや、プレゼントページ、付録の手づくりブックなどを担当していました。そこからフリーランスになって、絵本雑誌のライターをしたり、手芸の書籍なんかを作るようになって。

―では、東欧に興味を持つようになったきっかけは?

2006年に、東欧雑貨を中心に扱っているお店『チャルカ』が企画している「チャルカといっしょに東欧雑貨を探す旅」というツアーに行ってからです。そこでチャルカの店主、久保よしみさんたちと知り合いになり、雑誌『MOE』で東欧特集をやるときに一緒にやらせてもらうようにもなって。『MOE』では手づくり作家さんたちの取材もしていて、実は今、自分のアトリエがある、この「台東デザイナービレッジ」にも取材で来たんです。築80年の元小学校というレトロな建物、そしてクリエイターたちのやる気がみなぎっていて、なんていい場所だろう、と。そうしたら、ちょうど入居募集があって、私も入りたい! と応募しました。それで、ここに入ってから、こんどは「チャルカさんと刺繍の本をつくりたい!」ってひらめいて、昨年3月くらいから作りはじめて、5月には間に合ったという……。勢いって大事ですよね(笑)。


(左)愛用している手芸道具。
(右)春日さんが子どもの頃に愛読していた手芸雑誌『ピチ』。インパクト大&中身も充実!

―すばらしい行動力です(笑)。東欧の手仕事のどんなところに惹かれたのでしょう?

「これでもか」と、とことんやりつくしているところです。手間を惜しまず装飾するすばらしさ! 民族の誇りや、祈りを感じられます。針と糸だけで、こんなに豪華になるなんて。かわいくて美しい色彩あふれる刺繍には心が華やぎますね。

―たしかに、すごく色鮮やかで美しいですよね。ところで「Bahar(バハール)」という名前の由来は?

私が習っているベリーダンスの師匠がつけてくれたダンサーネームなんですよ。ペルシャ語で「春」という意味なのですが、私の名前も「春日」で「春」が入っていますし、生命力にあふれているかな、と。

―「Bahar」を立ちあげたのは昨年ですね。

はい、昨年春からです。ブランドを立ちあげてしばらくは、わかりやすいほうがいいかなというのもあって、特に心に響いた「ハンガリーの刺繍」にしぼって、まず本を作ったんです。

―なるほど。

それから本だけでなく、一緒に東欧の手仕事にヒントを得た手芸キットも作って。本は、物語でその背景を伝えながら、手芸しましょうっていうコンセプトで作っています。その土地の何かを感じて、本と一緒にその世界観ごと楽しんでほしいという思いが根本にあるので。


(左)アトリエ訪問の取材中、ちょうどルーマニアから届いた材料。束になった糸はイーラーショシュ刺繍用のもの。
(右)旅行で訪れたトランシルヴァニア地方の家の一室。見事な鮮やかさ!

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