東欧の手仕事、その背景と世界観を伝える小さな出版社「Bahar」

2010年12月03日10時01分

「湖のほとりでくつろいでいるイメージで、一緒に手づくりできたら」

―材料も現地で調達しているんですか？

一部はそうですね。チャルカさんにお願いしたり、ルーマニアのトランシルヴァニア地方にある『FOLK ART Transylvania (フォークアート トランシルヴァニア)』さんから送ってもらったりしています。すべて現地のもので揃えるのは難しいんですけど、どこかに現地の材料が入っていると楽しいかなと思って。

―春日さんの場合、本づくりと手芸を両立させているのも珍しいですが、手芸も、ただ作ったものを売るだけでなく、買った人に作ってもらえるようにキットとして販売しているものがあって、ユニークですよね。手づくりするときは、東欧の伝統的なものからインスピレーションを受けているのでしょうか？

ええ。旅先で見つけてきたものをアレンジして作ることが多いですね。あと、新作の『民族衣装を着るバッグ』は、ハンガリーやルーマニアの民族衣装をヒントにしたものなんですよ。東欧の民族衣装をイベントなどで着ていると、「欲しい」という人もいるのですが、実際に着るのは難しいのでは？ と考えたときに「バッグにしよう！」と思いついて。民族衣装のテイストを生かしつつ、ちょっと改良して作りました。

―本当にスカートみたい！ 個性的でステキですね。ところで、今後はワークショップも定期的に開催されるそうですが。

ええ、渋谷西武に新しくできたばかりの『サンイデー渋谷』のアートブックショップさんで4月、5月、6月にやります！

―ワークショップでは何を作るのですか？

ひと月に2種類あって、ひとつはホリスティック・クラフトで、もうひとつは東欧系の手芸にする予定です。

―ホリスティック・クラフトというのは？

名前は私がつけたんですけど（笑）。手芸は写経のように、心を落ち着けて、ひとつのことに没頭できる。自分の心と体の声に耳をかたむけられる。そんな場所や時間を設けたいな、と思って考えたのがホリスティック・クラフトなんです。これは日本画家で、植物にも詳しい、義村京子さんという方と一緒にやろうと思っています。

義村さんは大地への感謝を込めて毎日、花や植物などをストーンサークルのように地面にお供えして祈りを捧げているのですが、例えば、その花をモチーフにした刺繍を作ったり、生徒さんに好きなパワーストーンを選んでもらって、それを使ったアクセサリーを制作したり。もしくは自分でお供えした写真を撮ってきてもらい、それをもとにコラージュしたり。湖のほとりでくつろいでいるイメージで、一緒に手づくりできたらと思っています。お仕事帰りに立ち寄ってもらって、リフレッシュしてくださったらうれしいです。

―ホリスティック・クラフト、新しい試みですね！ ワークショップのほかに今後イベントなども盛りだくさんとのことなので、そちらも楽しみにしています。

（左）春日さんのアトリエの一角。左の民族衣装を着た人形はハンガリーで買ってきたもの。 （右）ディスプレイしてある作品や材料。モチーフのかわいらしさ、色鮮やかさは眺めているだけでも楽しい！

（取材／田辺香）