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湘南から発信する、生活に寄り添う楽器作り―cross road 高崎コウジさん

2008年12月03日12時01分

「誰もが生き生きとした場を作る」ことを目指して


2階のスペースでは定期的にワークショップも開催。
―そもそも、お店を始めようと思ったきっかけは何だったのですか?

ショップのオープンは2003年の4月ですが、それまでは各地でワークショップなどをやっていました。もともとサーファーで、20年くらい前は、毎年バリ通いをしていたんです。バリの素晴らしい波と、バリの人たちのアートや音楽が普段の暮らしと共にあるようなライフスタイルにはまって、ばく然と「そういう場を日本でも作ることをやりたいな」と。今思えば、その時からすでにイメージとしてぼんやりあったのでしょうね(笑)。

94年に「シーラカンスプロジェクト」というのを立ち上げました。ひとことで言えば「原初の生きる力を呼び戻すため、ワークショップを入口にみんなが生き生きとした場所を作るネットワーク」というものなのですが、そういう場を提供するというのが目的のものです。たとえば、茅ヶ崎の市民ギャラリー有効活用の一環で、現代美術系作家と子供の作品をコラボさせるというワークショップを行ったり……。障がい者の方々と組んだこともありました。共通しているのは、彼らのもつ「ピュアな表現力」に惹かれているという点でしょうか。

子供は、本能というか直感で絵を描きます。子供の絵は、表現の根幹なんですよね。リアルなアーティストなら、ずっと持ち続けるべきものだと思います。子供のピュアな表現力を、工夫した「魅せ方」で発信したら、素晴らしいかと。それで大人のアーティストとの共同作業をして、イベントを行ったんです。

―高崎さんからも、ピュアな感じが伝わってきます。だから制作される楽器も、正直で優しい感じがするんですね。

ひょうたん楽器への出会いも制作もそういったイベントの企画の中で「音」が必要になってきて、自然とここまでやってきたという感じです。ひょうたんとの出会い、縁があって続いているんです。

―お話を伺っていると、ゆるゆると自然の流れに任せているからこそ、今の高崎さんがある、そんなふうに思えます。まさに波乗りのような人生ですね。


ひょうたんオカリナの吹き方の説明をする高崎さん。
これまでずっとアーティストのネットワーク的な活動をしてきていましたからね。目指してきたのは「誰もが生き生きとした場を作る」ということ。これからもそうです。そういう場づくりを通して、少しはいい方向に変わってきたという感じはします。子供や障がい者の持つ、素直な表現力を発信する場を提供し、プリミティブアートに行って、そして今は、こだわりがなくなってきたかな。みんな一緒。そういう感覚でいます。

―高崎さんにとっての、モノづくりの姿勢とは?

誰でもできそうなふうに、サクッとカジュアルに作るのが良いと思っています。「あ、こんなのなら自分でもできそう」と思わせたい(笑)。でも本当は「簡単そう」と思わせるのは簡単ではないんですよ。複雑なものをシンプルにしていくのはけっこう難しいんです。

私は、「全ての人は生まれながらにアーティストである」という持論があります。誰でも子どもの時は心のおもむくまま自由に歌ったり絵を描いたりしていたのに、大人になるとなぜかそれができなくなってしまう。それはなかなか日常にそういう習慣というか機会がないのも原因だと思うんです。私の作ったいい加減な楽器を奏でてふっと和んだり、こんなの自分でも作れそう、とその気になってもらえたら嬉しいですね。

―なるほど。そういう意味では最初におっしゃっていたcross roadのコンセプトにつながりますね。最後に高崎さんの今後のビジョンを聞かせていただけますか。

音楽やアートと生活が、もっと日常の中で共存してもいいと思っているので、生活の中に「音」の楽しみがある、という魅力を伝えたいです。

それから、地域密着型の作家たちの才能が活躍する場をつないでいきたいと思います。拠点を作って、つないでいくと、結果自分も楽しい。そういう構図です。cross roadがそのような拠点として機能していけるようになれば、イメージで作られたものでない本当の湘南のカルチャーや、ライフスタイルが発信できる場になるのではないでしょうか。まだ道なかばですが、より良い場を作ることを目指していきたいです。

(取材/おおさきゆき)


cross road 高崎コウジさんから提供いただいたハンドメイドレシピ


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