ユニークなアイデアから生まれる、わたなべちいこさんの「へんてこメガネ」

2008年12月04日02時01分

創作意欲をかきたてるような絵本を作っていきたい

―布で作ったメガネもあるんですね。

段ボールばっかりだと、ちょっとなあと思って。布はけっこう大変ですけどね。ドーナツが７つぐらい連なっていて、スポッと頭からかぶるメガネも面白いかな？ とか、いろいろ考えてはいます。

―わたなべさんにとって、手づくりの楽しさってなんですか？

出来上がったときの達成感ですよね。しかもメガネは、実際にかけて遊べるのがいい！ 考えている時点で楽しくて、それを形にして、鏡の前でかけた瞬間、すごくおもしろいじゃないですか！ 一人暮らしのイラストレーターが、作ったメガネをかけてアパートの一室でニヤケているのは、かなり怪しいですけどね（笑）。

―実際に、作ったメガネをかけて出かけたことはあるんですか？

はい。人に見せたいし、個展にも来てほしいから、打ち合わせなんかにも必ず持っていって一個はしのばせておくんですよ。そして、よく見えないフリをして、「ちょっとメガネを……シャキーン！」みたいに取り出して、かけるんです。それを見て「どうしたんですか？」って、静かに言われると寂しいですけどね（笑）。

先日、実は「ドーナツメガネ」をドーナツショップでかけてみました。店員さん、クスッて笑ってました。いつか、レストランとかファーストフード店で、家族連れがこういうメガネを普通にかけているところを写真に撮ってみたいんですよね。ああ、夢は膨らむ一方です（笑）。

（左）アトリエの様子。ここで「へんてこメガネ」が生み出されている。 （右）手づくりマトリョーシカの土台を使って、ヒヨコを作成。表情がなんともかわいい。

―面白すぎます（笑）。最後に、今後の抱負を聞かせていただけますか？

メガネのほかに、マスクもいいなって考えています。紙袋に目の部分があいてる、かぶりもののマスク。「作りやすい」が基本にないと、みんな楽しめないでしょうから。あとは、遊べる絵本を作りたいですね。自分で面白いものを考えたりできるようなもの。子どもたちがただ読むだけの受け身になるものではなくて、創作意欲をかきたてるような絵本をどんどん作っていきたいです。

（取材／田辺香）