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アンティーク着物から生まれる、世界にひとつだけのバッグ―鹿の子

2008年12月08日06時01分

「遠い昔に作られたものの良さに助けられて自分の作品ができている」


手描きのバラ柄の着物地を使ったがま口バッグ『アイスローズ』。
―よくオーダーメイドで注文を受けられているのですか?

はい。お店に少し委託で置いてもらっているのと、あとは直接メールでお問い合わせいただく、オーダーメイドで対応しています。

例えば以前、ご自分の結婚式で「鹿の子」のバッグを持ちたいという方がいらしたんです。式にも、二次会にも持てて、さらに普段にも持てるようなバッグ、というハードルの高い課題でした。お客さまとはお会いしたこともなく、ドレスがどうなるかわからない状態だったんですが、形だけは定番のボックス型で指定されていて。すごく悩みましたね。どう考えても結婚式だから白。でも白にしてしまうと普段あまり使えないですし、どうしようかな……と。

そんなとき、外国では結婚式に青いものを贈ると幸せになる、「サムシングブルー」という言い伝えがあるのを思い出したんです。そこで淡い水色の生地を使い、鳥の飾りと白いお花をつけてふわふわっとした感じにお作りしました。結果的にすごく気に入ってもらえたのでホッとしたんですけどね。

―けっこう重大なオーダーがあるんですね!

そうですね(笑)。オーダーメイドだからこそなんでしょうね。せっかくだから、こだわりをもって作りたい、世界でひとつしかないものを、ということで問い合わせていただいてるのかなと思います。もちろん、気軽な普段使い用に、というオーダーの方が半分以上なんですけど。


鳥のモチーフがお気に入りという亜弥さん。着物の柄でも小物でも、鳥のデザインが自然と集まるのだそう。

―ところで、亜弥さんご自身は着物をよく着られるんですか?

頻繁にではないですが、機会があれば着るようにしていますね。ただ、みなさんもやはり着物を着る機会は少ないと思いますので、着物にはもちろん合うけれど、洋服にも合う、ふだんも持てるようなデザインのバッグを心がけて作っています。ビーズとボタンとアンティークレースなど海外のものと、アンティーク着物を組み合わせて。

―展示会はやってらっしゃるんですか?

年に1回、吉祥寺にあるショップで展示会をやらせてもらっていて、その年、新しく作ったデザインとか、これからご紹介したいデザインのものをご用意して展示販売しています。あとは不定期ですが、飛び入りで着物のイベントに置かせていただくこともありますね。

―亜弥さんにとって、手づくりすることの楽しみは何ですか?

アンティーク着物のはぎれとして売られているものを、着物の持つ良さを活かして、バッグなどの形にして、お客さんに喜んでもらえるのがすごく嬉しいです。遠い昔に作られたものの良さに助けられて自分の作品ができているので、それをできるだけいい形に変えて、いろんな人に手に取ってもらえたらいいな、と思っています。


(左)フランスの蚤の市で買い付けてきたボタンやレース類。大事にストックしている。
(右)「鹿の子」だけあって、鹿のモチーフも好きで集めているのだとか。

―それでは最後に、これからの抱負をお聞かせください。

海外の作家さんも気になるので、写真家さんや作家さんのブログをよくチェックしているんですが、そういった海外の作家さんとコラボレートしてみたいですね。日本だけでなく、広い活動ができたら楽しいかなと。海外にも陶器作家さんなどたくさんいるので、陶器でボタンを作ってもらいたいな、とか。すごく大きな夢ですけどね。それから、長く続けることが一番大事だと思っています。展示会で活動している中でファンになってくださる方もいらっしゃるので、そういう方たちの期待を裏切らないように、細くでも長く続けていけたらいいなと思っています。


(取材/田辺香)



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