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子育てを通じて見つけた、奥山佳恵さんの“毎日使える”ものづくり

2008年12月09日17時01分
女優、タレントとしてだけでなく、7歳のお子さんを持つママとしての顔を持つ、奥山佳恵さん。子育てを通して知ったものづくりの楽しさ、ものづくりへの思いについて、お話を伺いました。

奥山佳恵さん/Yoshie Okuyama

女優・タレント。映画「喜多郎の十五少女漂流記」で主役スクリーンデビューし、数々のドラマ、バラエティー番組、舞台などで幅広く活躍する。結婚、出産を経て、NHK子育て番組の司会者として芸能界復帰。現在は東海テレビ「ぴーかんテレビ」、MBS「ちちんぷいぷい」、NHK「生中継!ふるさと一番!」に出演中。
ブログ「てきとう絵日記」:http://ameblo.jp/okuyama-yoshie/

「ものすごく大げさにいうと、ものを作ることは、生きた痕跡を残すこと」


手首に付けられるように、ゴムを付けてアレンジした針山。
奥山さんにとって手芸モードに入るためのスイッチなのだとか。
―奥山さんがものづくりを始めたのはいつから?

小さい頃から絵を描くことが好きで、思ったものを何でも絵にしていたんです。それが自然にものづくりに移行したのが小学校の高学年のとき。手芸部に入ったのですが、技術が伴わなくて作りたいものが作れなかったんです。それで嫌になってしまって、ピタッと作ることを止めてしまいました。でもこのお仕事を始めてからしばらく経って、一人暮らしを始めて一段落したとき、ふと着なくなったTシャツにボタンやリボンをつけたいと思い、思いのままに4~5分で作ったら思ったよりもいいものができて。それで、前々から作ってみたいなと思っていたものを少しずつ、手近なところから始めていったんです。

―最初はリメイクが中心だったんですね。

もう着なくなったものを、もう一度活性化させる。ポケットをつけたりボタンをつけたり、ちょっとしたことでよみがえるので、思ったことを実現できた喜びに繋がって、だんだんものを作るのが楽しくなっていきました。手芸そのものを楽しむというより、あるものにちょっと手を加えて自分の時間を楽しく使っているという感じだったんです。本格的にゼロからものづくりを始めたのは、子供が生まれて自分の時間がなくなったことがきっかけでしたね。

―最初に作ったものは何でしたか?

子供が生まれてから、それまで自分のために24時間フルで使えた時間が1日30分くらいに減ってしまって、生活スタイルが全く変わって戸惑ったんです。「このままじゃ楽しいと思える1日が送れない!」と焦りを感じて、息子がやっと寝てくれた30分間で何をするか考え、ものを作ろうと思い立ちました。それで手近にあったタオルにお気に入りのアップリケと縁取りをつけて、簡単なよだれかけを作ったんです。わずかな時間にものを作ったことで、“私は今日も生きた”っていうことを実感して、思いのほか感動したんです。さらにものとして使えるし、作った喜びもあるし、こんなに嬉しいことはないって、ものづくりにいろんな前向きさを教えてもらいました。ものすごく大げさにいうと、ものを作ることは、生きた痕跡を残すことだと思います。時間がないからこそ、それがありがたく思えたんですよね。それからは子供が寝たら何かを作っていました。コツは短時間で作れるもの。すぐに結果の出るような手芸が、忙しい時期にはぴったりなんです。


(左)赤でコーディネートされた、奥山さんのアトリエ。 (右)たくさんある生地のストックは、タンスに入れて保管。

―いままで作ったものは?

当時は短い時間しかなかったので、よだれかけが一番多かったです。少し時間のあるときはベビーラックの替えシートを作ったり、飾るものっていう余裕はなく、とにかくすぐに使えるものばかりです。みんなに「便利」とか「かわいい」って言ってもらえることにまた喜びを感じるし、作ったものがいつも目に入ると毎日がよりつややかな感じになって。作りながら、見ながら喜んでいました。

―ご自宅には作ったものがたくさんありそうですね。

使えるものを中心に作っているので、最近は息子のズボンが一番多いですね。マフラーや帽子は馴染みすぎて、家と一体化している感じです。作ったものは、どんどん日常の中に溶け込んでいくのが幸せだなと思います。飾るのは息子の作品くらいですね。あまりにも出来がいいので、手を加えちゃいけないと思って額装してしまうんですよ。親ばかなんですけど(笑)。


大切に額装して飾ってある、息子さんの作品。
―ものづくりのアイデアはどんなところから?

生地を見て、こういう風に作ろうと思うことが多いですね。私はとにかく布が好きで、お散歩がてら生地屋さんによく行ってしまうんです。生地が大量に増えてしまって、生地ダンスが2つもあるほど(笑)。生地屋さんで「この色のスエットでリバーシブルのズボンができたらいいな」とか、かわいい生地を買いたいから「何か作ったら、これを買えるんじゃないか」という感じで。町で見かけた色の組み合わせや柄を見て、日常的に作りたいものを考えています。一番のお気に入りの、キルト展で見つけたアメリカのファブリックはため息がでるようなかわいさで、ポイントとして使ったりして、少しずつ使っていますね。

―まずは絵を描いてから、作りはじめるんですか?

いえ、見切り発車ですね。成功したときだけ、覚えているうちに書き留めておくんです。最初から型紙のあるものを作ることの方が多いので、一つは本の通りに作って息子に履かせてみて、「ちょっと裾を広げてみよう」という感じで、元の型紙に線を入れていくんです。服飾の勉強をしたことがないので、ちょっと裾を広げたつもりが、ものすごいラッパ型になったりするんですけど、履かせるまでは答えが出ないので(笑)。そうなったら今度はもう一度、元の型紙と作ったものの中間に線を引いて、ベストなラインの型紙を作ってストックします。キャスケットとかも、かぶるまでは成功かどうか分からないので、そのギャンブル性も面白かったりするんですよね。ぴったりはまると嬉しいし、小さければ息子より下の月齢のお友達にあげちゃいます。

―お友達にプレゼントすることも多いのですか?

そんなに数はないですけど、とてもかわいい花柄の生地を買ってスカートやワンピースにしたいなって思っても、やっぱりうちは男の子なので。それで2着作って、お友達の女の子にそれぞれプレゼントしたりしました。一回作ると、もう一回作りたくなるんですよね。次はこんな風にしようというアイデアが浮かんで、作らずにはいられなくて。あげてしまっても、お友達が持っているっていうだけで十分です。

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