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黄色いミートスパゲティ

  • riru* さん
  • 小説です。
    すみませんが、感想がありましたら別にトピックスを作ってお願いします^^
  • 2011/10/11 18:42
  • riru* さん
  • 雲ひとつ無い青空。
    生き生きとした穀物の育つ畑。
    澄んだ空気。
    楽しそうに空で遊ぶ小鳥達。
    それらを何ら気に留める事なく、道で話す人。

    車の窓を全開にして見た景色を僕は一つ一つ大事に心の中にしまった。
    僕の生まれ育った、ここ茨城は今日から僕の「故郷」となる。
    そして、僕は東京都民になる。

    東京といっても、僕の行く所は田舎の方だと、母が言っていた。
    元々母はそこに住んでいて、父と出会い、結婚してすぐに父の仕事の都合で茨城に引っ越した。そして、その1年後ぐらいに僕が生まれた。
    それから15年ほどたち、母もすっかり茨城県民となった初夏。
    祭り好きの僕が夏祭りのポスターなどどうでもよくなるような出来事が起こった。
            「お父さんが夜な夜な女と会っている」

    期末テストが終わり、給食なしで下校し、ミートスパゲティを食べていた僕に母が急にそう言った。「じゃあ、母さんちょっと出かけてくるから。」そう言って母は、僕の向かい側のいすから離れ、いなくなった。
    僕はただ黙々とミートスパゲティを食べた。
  • 2011/10/12 23:15
  • riru* さん
  • ピピピピピピ
    目覚まし時計はただただ同じ音を繰り返していた。
    いつもはうっとうしいその音も今は何だか心地よく感じた。
    「いつも通りの朝だ。」
    そう呟いてみたら、余計に虚しくなった。

    トン、トン、トンと廊下を歩いてくる音がした。
    そして僕の部屋のドアが開き、母の声がした。
    「優斗、そろそろ起きなさい。」
    「ん~、もう少し。」
    もうすっかり目は覚めていたが、そう言ってみた。
    「残り少ないんだから、遅刻しないで行きなさいよ。」
    それを聞いたら、自分の行動が全部馬鹿らしくなってきて、僕はすべるようにベッドから降りた。
    僕と母がここで暮らすのはあと1カ月。
    昨日、母にそう言われた。
    母は昨日帰宅してから僕に詳しく話をした。
  • 2011/10/16 22:56
  • riru* さん
  • 「私は、お父さんを許すつもりはない。その事は優斗も分かってくれると思ってる。だから、」
    母は唾を飲み込み、僕の目をまっすぐと見て、もう一度話し始めた。
    「だから、母さんと一緒に東京の実家に引っ越してほしい。」
    僕は、ただ呆然と母を見ていた。
    「もちろん、今すぐじゃない。1ヶ月後。だから、心残りのないように1ヶ月、 ここで暮らそう。急でごめんね。でも、母さん考え直すつもりない。」

    ・・・・・・・・。

    僕は受け入れるしかないし、そうするべきだと思っている。
    でも、少し時間がかかる。

    リビングへ行くと、テーブルの上には僕の朝食があった。そして、その向かい側に父の朝食で使ったお皿が置いてあった。その茶碗にいつもの様に残っている少しのご飯粒がその時は妙に恨めしかった。
  • 2011/10/16 23:30

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