タイの伝統工芸カービングで繊細で絢爛な作品作り―鬼丸信乃さん
2007年12月02日07時01分彫るときに大切なことは“思いきりのよさ”
信乃さんが教える教室の風景。
レッスンは和気あいあいと楽しく進められる
―作品をみるととても繊細ですが、彫るにあたって大事なことは? またどれくらいで技術は身につくのでしょう?
毎日学んでいれば、1年で基本的な技術は身につくと思います。彫るにあたって一番大事なことは「思いきりのよさ」です。ラインを決めたら迷わずにナイフを動かすと、すっきりとしたツヤのある彫り口になります。
―カービングのすばらしさとは?
まずは、気軽にできること。道具は基本的にナイフ一本です。場所も新聞紙くらいの広さの机があればどこでもOK。材料は石鹸やフルーツといった身近にあるもので、費用もそれほどかかりません。あとは彫っているときにすごく気持ちが集中できること。脳内物質がでていると思うんです。なにかこう、ふわっとしたものが出ているのを感じることがあります(笑)。とにかく気持ちがすごく集中して、多少の雑事は忘れてしまうくらい。二時間くらい集中して、できあがったらすごくきれいなかたちで残るというのが充実感を高めますね。
《左》カービングナイフとカービング専用の彫刻刀
《右》初級の生徒さんが制作した作品。はじめて間もない方でもこんなにステキな作品を!
―ナイフ一本で、なにかをプラスしていくのではなく、削っていくカービング。
自分の手ひとつで作り上げていくというのはすごいことですよね。
デザインによって道具を増やしてゆくのではなく、自分の手が違う彫り方を覚えてゆきます。
生徒さんにも、「自分の手が進化していくのを感じる」といわれます。
つねに彫り続けられる状態でありたい
8色の石鹸でいろいろなハートを彫ったもの
2007年制作
―それでは、信乃さんにとってカービングとは?
作るということは、なにかですごく気持ちが動いたときの出口になっていると思います。キャッチしたものをカービングとしてアウトプットできるという。それに対して、教えることは喜びです。自分の生徒さんたちがどんどん彫れるようになっていくことはやはりとても嬉しいことです。
―今後の抱負は?
彫れる状態であり続けること。なにかに出会ったときのインスピレーションを体の中にとりこみ、それを作品にしてゆける状態でありたいと思います。それから、もっともっとカービング自体の認知度が広がり、今は手に入りにくいカービングナイフが、日本のお店でも気軽に買えるぐらいになってほしいです。「ハンズにカービング用品一棚」になったら夢のようです(笑)!
初心者向けに、信乃さん主宰の『カービング スタジオ エス』で一日レッスンがあります。カービングを体験してみたい方はこの機会にぜひ! 内容:石鹸で作る桜 対象:初心者の方 日時:2/20(水)受付 10:00~10:15 レッスン10:15~12:15 場所:四谷三丁目教室 (東京メトロ丸の内線「四谷三丁目駅」徒歩3分) 料金:3,000円(材料費込み) 持ち物:持ち帰り用袋(作品は直径10cmのケースに入ります) *カービングナイフは無料で貸し出しいたします。 ご希望の方には販売もいたします。 |
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