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空気の流れごと作品になる、モビールの魔法―いろけんさん

2009年12月04日08時01分

多くを語らず、想像力をかき立てるモビール作りを


福岡イムズのディスプレイ。等身大の人型をモビールに。
―お話をおうかがいしていると、奥が深そうだなと感じますね。

そうですね。ちなみに「ファーストモビール」ってご存知ですか? 生まれた赤ちゃんの、目がやっと開いたときに認識できる色って、最初は白と黒だけ。そしてまもなく赤色が分かるようになるんですって。そんな赤ちゃんのためのモビールが「ファーストモビール」です。白、黒、赤の幾何学モチーフのモビールなんですが、ベビーベッドの上にこれを飾ると、赤ちゃんはこのモビールを目で追うことによって気持ちが安らいだり、安心したりするそうです。また、目の筋力を鍛える役割も果たしているそうですよ。

―かわいいインテリアというだけの存在ではないのですね。ところで、いろけんさんのモビールの特徴はどんなところでしょう?

「多くを語らず」をコンセプトに表現しています。パーツは詰め込みすぎず、パーツとパーツの間の空間をたっぷり生かしたモビール作りを心がけています。パーツの向こうに情景を浮かべてもらえるようになれたらいいですね。眺めている人の想像力をかき立てられるような……。あとは、ちょっとした“笑い”を1つのモビールのどこかしらに潜めています。

―レシピ用に作っていただいたモビールにも、1つありましたね!

はい。そういう遊び心をどこかしらに潜めて、なんとなく眺めているうちに「あっ!」って、気づいてもらえたらうれしいです。

―これまで、モビールを作っていて、印象に残っているエピソードはありますか?

まだモビール作家にはなっていなくて、趣味程度に作っていたころのことなのですが……。障害者の施設でボランティアをしていたことがあるんです。その施設には、障害の高い、四肢麻痺の寝たきりの方がいて、その方のベッドのそばに描いた絵を飾ったりしたのですが、あまり反応がなかったんですね。そこに、海をモチーフにしたモビールを天井から飾ったんです。そうすると、その方が一生懸命、モビールの動きを目で追ってくれたんですよ。その時に、「平面では表現しきれないこともあるんだな」と体感しました。それから、モビール作家になり、平面の世界=イラストで表現できなかったことができるようになったと思います。


(左)イベントの時のディスプレイ。葉っぱと枝のモビール。
(右)カラフルなクジラの上に小さなお船がゆ~らゆら。「くじらPOP」

―今後の目標はなんでしょうか?

まだまだ認知度の低いモビールを、たくさんの人に知ってほしいなって思います。モビールそのものを知らない人も多くって……。いまだに、「モービル?」なんで言われることもあるんです(笑)。身近な目標としては、全国47都道府県、それぞれに扱っていただけるお店が持てるといいなと思っています。そしてたくさんの方に作ってもらえるといいなと思います。ワークショップやイベントも活動的に開催して、モビールを広げる活動をしていきたいです。

また、今は手作業のモビール作りですが、将来はモビール工場を作りたいですね! そしてどんどん工場見学に来てほしい! いつかは、自分が作ったモビールを北欧に送り出してみたいです。


(取材/いなだみほ)



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