想像力がふくらむ紙袋の世界へ―姉妹創作ユニットtaki* corporation
2010年11月01日02時01分taki* corporation/大滝央子(pinco)さん、由子さん
CDジャケットや雑誌などで活動する写真家pincoさんと、紙袋作家でイラストレーターの大滝由子さんによる姉妹創作ユニット。紙や絵や写真を使って、非日常の風景を作り出している。また姉妹音楽ユニット「ナイアガラ交響楽団」としても活動中。紙袋は鎌倉の「moln」や自由が丘の「Eckepunkt」などで取り扱うほか、代官山「drole」の店内装飾を手がける。ホームページ:http://takicorporation.com
姉妹で一緒に活動するのは自然な流れで
2008 『paperbag travel』
由子 大学はデザイン学科のイラストレーションコースに通っていました。その頃はイラストを描いていました。大学3年生のとき、友達とイラスト展をしようということになって絵を描いたのですが、ただ絵を額物に入れるのはつまらないし、絵がアイテムに落とし込まれていたら楽しいなと考えたんです。紙袋ならなじみ深いし、紙だから平面でありつつ立体にもなるという楽しさがあって、空間を作るのに誰も思いつかなかった面白いアイテムなんじゃないかなと思って作り始めたのがきっかけです。
―確かに、紙袋をメインにしようという考え方はこれまでありませんでした。
由子 だから最初の頃は、「捨てられない紙袋」というキャッチコピーでやっていました。再生紙ではないからあまりエコとは言えませんが、少しエコというテーマが背景にあると、人を納得させられるんじゃないかなというのがあったんです。でも絵をとにかく描きたかったので、紙袋はあくまで絵を落とし込むためのもの。まわりに絵が上手で面白い子がたくさんいたから、自分は真っ当に勝負をしたら勝てないし、ちょっと変わったことをやりたいという思いがあったと思います。
―初めの頃はどういった作品だったのですか?
由子 紙袋をキャンバスとして絵を落とし込んだだけでしたが、バスの形をしたものや一つの紙袋に取っ手が3つ付いたものもありました。子どもの世界を描きたいなと思うと同時に、自分の作った物で子どもに遊んでもらいたかったので、パズルも作ったんです。最近の作品は鳥などの形になっていて、一見すると紙袋とは分からない感じですが、最初は紙袋という感じでした。
制作手法は今も同じなのですが、プリンターで模様をプリントして組み立てて、紙袋を作っていました。卒業制作のときに教授に見せて、丸い紙袋も作ってみたいと話したら「面白い、とにかく大きく作れ」と言ってくれて、背中を押してもらったんです。
大学時代に作った作品。右の紙袋はパズルになっている。 |
―姉妹で一緒に創作することになったきっかけは?
央子 妹が大学から10年ほど関西で制作している間、私は東京にいました。2人で活動を始めたのは2006年、妹が上京してからスタートしたんです。写真は、子どもの頃からずっと妹を被写体に撮っていて、すごく好きで常に傍らにはあったのですが、仕事では全然別のことをしていました。
由子 上京する1年前から、大阪で作ったものの集大成のような展示をしようと考え、紙袋と自分がいる風景を撮ってもらいたいなと思ったんです。そのときに撮ってくれる人が姉しか思い浮かばなくて、大阪まで来てもらって初めて一緒に活動しました。卒業制作で友達に撮ってもらったときも、作品と自分がいる風景がすごくしっくりきて、自分らしいなと思ったのですが、姉に頼んだら写真がすごく良かったので今の活動に繋がりました。
央子 作品と先の風景を映し出す「旅」が私たちの作品のテーマになっているのですが、このときからいろんな場所に行って撮っています。作品を物撮りするのではなく、風景の中に持ち込んだ方が絵的にも絶対いいし、持っていただく想像をふくらませることができるかなと。
由子 姉と一緒に活動するのは自然な流れでした。私はずっと姉を見ていて「どうして写真をやらないんだろう?」と思っていたんです。だから絶対に写真をやってほしいと思って撮ってもらったというのもあります。自分の作品と自分を撮ってもらうことで、姉の写真家としての片鱗を垣間みて、すごくいい化学反応だった気がします。
(左)由子さんの制作場所。 (右)アトリエにある書斎。左が由子さん、右が央子さんのスペース。 |
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