インテリアにあたたかみを添える、NICOのハンドメイドフェルト

2009年12月02日04時01分

使うシーンまるごとで考え、生み出される作品

―これまでにアイテムはどれくらい作ったのでしょうか？

100は超えていると思います。最初は大きい物ばっかり作ってたんですけど、最近はアクセサリーとか小物も作るようになりました。もともと私は、ちぎって並べて、石鹸水をかけて毛と毛をこすって絡まりあわせる「水フェルト」をやっていて、昔はフェルティングニードルをあんまり使ってなかったんです。最近はニードルも楽しくて、けっこう使うようになってきましたけど。

―ニードルとはまた違う方法があるんですね。では、太田さんが今まで作ってきた中で一番難しかったのは何ですか？

洋服です。長いタンクトップのようなチュニックの原型を作って、その上に毛をちぎってのせて、お湯をかけてこすっていくんですけど。だいたい３割くらい圧縮して縮むので、縮んだサイズが自分のサイズになるように作らないといけないから、はじめはすごい大きかったんですよ。だから、お風呂場で筋肉痛になりながら作りました（笑）。着ようと思ってたのに、結局、ピチピチで一回も着られませんでしたけどね（笑）。

―そうなんですか（笑）。洋服はかなり難しそうですね。では、今までのお気に入りは？

ボタンのブローチですかね。ボタンのトレーもあります。なんでも大きくするのが好きみたいで、クッキーをモチーフにした大きな鍋敷きもあります。これは、展示していたら、子どもがそっと食べようとしてましたね（笑）。

―その気持ち、わかります（笑）。ところで、太田さんは作るときに何からインスピレーションを受けますか？

インテリアが好きなので、使うシーンまるごとで考えます。ちっちゃいバッグでも、「ここに花を入れたいな」と思って作りますし。使えるものを作るのが好きですね。あと模様は自分で絵を描いて考えるよりも、ぱぱっとひらめきで作ったほうがいいものができます。

（左）太田さんがいつも作品作りをしているアトリエは、とてもおしゃれで落ち着く空間。 （右）羊毛の毛の流れをきれいに整えたり、2色の羊毛をあわせるときに使用するドラムカーダーという機械。

―それにしてもフェルトって、見ているだけでもほっこりしますよね。

フェルト自体の質感がそうですよね。ビビッドな色を使っても、どぎつくならないですし。

―色は何種類くらいあるのでしょうか？

すごいたくさんあります。自分で染めてらっしゃる方も、もちろんいるんですけど、私は3つくらいのお店のものを使い分けてます。どういうものを作るかも楽しみですけど、どういう色を組み合わせるかも楽しみですね。実際に作ってみると、想像とまたちょっと違った感じになるので、思いがけなく良くなったりもしますし。２色合わせて機械にかければ、色を混ぜることもできます。あと羊の毛の種類によって、質感も全然違うんですよ。私は細くて滑らかなメリノという種類をよく使うんですけど、ロムニーという、毛が素朴でしっかりしている種類もあって、たまに使います。

―フェルトの世界も奥が深そうですね！ 最後に、太田さんの今後の抱負をお聞かせいただけますか？

「フェルトは作るのが楽しい」というのをもっと広げていきたいです。昨年、丸の内でワークショップをやる機会があったんですけど、OLさんを中心に、いつもと違った層の方々もきてくださって。30人くらいの大きなワークショップだったので、いろんな方とお話できてとても楽しかったんです。今後も作品を作りつつ、そういったワークショップの機会をもっと持てたらいいなと思います。あと何かを作ってるときって無心になれるんですよ。ほんとにストレス解消になるので、そういう気持ちで気軽にやってみてもらえたらと思います。


（取材／田辺香）