愛嬌たっぷり！　Jack&knife 貞本由美香さんのぬいぐるみ

2009年12月02日18時01分

こだわりのポイントは「生地」と「手触り」

―何の動物をモチーフにすることが多いですか？

クマとかうさぎ、あとは犬ですね。作りやすいというのもありますけど、作ってほしいという要望が多かったりもするんですよね。あと結婚式用にうさぎを新郎新婦に見立てて作ったこともあります。

―もらった方たちは嬉しいでしょうね。では、まだ作ったことはないけれど、作ってみたいものはありますか？

壁掛けになっている剥製です。最近、作ってる人も多いですよね。あれを何年か前から作ろうと試行錯誤していました。発砲スチロールで彫刻みたいに全部切り落として生地か何か入れていくべきかな、と考えたりして。でも、気づいたらここ数年作る人が増えてきて、ちょっとやる気をなくしているというか（笑）。

―あはは。貞本さんの作る壁掛け、是非みてみたいです！

もうちょっと場所が広ければ……（笑）。いずれはもっと広いアトリエで、作れるようになればいいなと思います。大きな立体作品と、洋服もちゃんと作りたいですし、大きい絵も描きたいです。

―では、貞本さんが作品を作るときに、インスピレーションを受けるものは何ですか？

公園を散歩して自然を感じたり、太陽を浴びたりすることですね。あとは自分の好きな事に対して誠実に向き合っている人達の本を読んだりもします。主にプロ野球選手や永ちゃん（矢沢永吉）にいつも刺激を受けてます。うまくいかないことがあっても、「あの人たちも頑張ってるんだから、私も頑張ろう」って（笑）。とりあえず今は、朝起きたら、永ちゃんが語ってる何かしらの映像を見て、自分に喝を入れて、「私ものんびりせずに、今日は朝から生地でも探しにいこうかな」とか思うんです。まずモチベーションを上げるんですよね。

―それは大事なことかもしれませんね。何か参考にしているものなどはありますか？

軍服とか紳士服が好きなんです。特に軍服は、デザインの基本ではないかと思っていて。一番機能的で全てに意味があり、無駄がないですよね。私は生地にこだわりたいので、手触りも含め、軍服や紳士服の書籍を参考にしてます。

（左）貞本さんが愛してやまない野球選手と矢沢永吉の本。 （右）作品を作る際に参考にしている「軍服」の本や紳士服に関する雑誌。

―では生地のほかに、作るにあたってのこだわりはありますか？

愛着がわいてくるもの、赤ちゃんにも優しい手触りのものを作りたいと思っています。ぬいぐるみには失礼なんですけど、最初できたときはだいたい「なんじゃこりゃ」って思うんですよ（笑）。「なにこれ!? こんなの売ってもいいのかな」とか（笑）。でも、ずっと一緒にいると愛着がわいてくるので、買っていただく方にも、そういうふうに思ってもらえるようなものにしたくて。最初はファンシーで可愛らしいぬいぐるみを作りたいと思ってたんですけど、自分でやってみたら、ヘンテコなのばかりできてしまって。ふつうのクマさんを作ろうと思ったのに、なんでこんなのができるんだろうって（笑）。

―でも、それがまたかわいいですし、やっぱり愛着につながるのだと思います。作る楽しみはどんなところですか？

アイデアを思いついて生地を探しに行って、作り始めると、そのうちどんどん形ができてくるのがやっぱり楽しみというか。思いがけない作品が生まれたりすると、次もやろうかなっていう気持ちになります。あとはやっぱり、ぬいぐるみは唯一無二なので、作っていて楽しいです。

―では最後に、今年の抱負を教えてください。

広いところに引っ越ししたいです（笑）。それから、さらにいいものを作っていけたらと思っています。

（取材／田辺香）