日暮里繊維街、天然素材を求めて安田商店3丁目店へ
2007年12月03日13時01分布の特徴やクセを相談しながら買えるお店
今では天然素材にこだわるのはブームといってもいいが、20年前にその着眼点で問屋を始めるとは、それはかなりの先見の明では、とたずねると、
「そういっちゃうとかっこいいけど、単に見る目と能力がないから、天然素材にして特徴を出そうとしただけ」と照れる。
「すべてはお客様が教えてくださっているんです。天然素材がブームになる前から、それがいいよとすすめてくれたのもお客様、洗い見本のアイデアを教えてくれたのもお客様です。色や柄、素材の品揃えも、父の代からつきあってくださっているメーカーさんたちの声をもとに仕入れているだけですから」
とあくまで謙遜するが、ぞくぞくとやってくる来客に、「この布は結構縮むよ」「これは縮みが少ない」「これは光っちゃうから…」などさまざまなアドバイスをする姿は、さながら布のコンシェルジュだ。ネットで検索しても、ご主人の親切さ、商品知識の豊富さ、人柄を賞賛する声が多い。
「最初は小売の形で買いに来るお客様も、最近はそのうちプロになっていくケースが多いですね。自分のあいている時間を使ってものづくりをして、それが売れる時代になった。うちで初めて布を買った人がどんどん専門家になっていって、プロとして仕入れに来てくださる。いい流れを作ってくださっています」と安田さん。
まさにrikaさんもそんな、プロへと転進した主婦の一人だ。
洗い見本を見ながらリネンを選ぶrikaさん
ECサイトはないので、訪れるほかないのだが、見て、触れて、布について語り合って買える幸福な場所は、訪れてみる価値は大アリなのである。