生活に「ファンタジー」を届けるものづくり―EBI

2009年12月06日03時01分

ライフスタイルの中で表現できることを発表し、世界観を広げていきたい

―平松さんが手作りをしていて楽しいところは？

作るたびに、勉強になるところです。ワンシリーズを作り終わると、いろんな人からの反応もあるし、自分の見方も変わったりして。今回はここに力をいれたけど、次はもうちょっと違うところにもチャレンジしなくては、と思って勉強になるんです。でもそれが楽しいし、自分のためにもなっているなと思いますね。

あと、国や都市の名前をつけている石鹸を作っているときは、その国にいったときの思い出が甦るんですよ。それを反芻するために作っているところもあるかもしれません（笑）。みなさんともリアルな意味で共有できるといいんですけどね。でも、実際にギリシャにいったことのある方が『GREECE』の石鹸を手にとって、「ギリシャのイメージに合う！」と言ってくださったりすることもあって。そんなとき、心を通いあわせて話ができることも、嬉しいことのひとつですね。

―なるほど。では今後、増やしたいアイテムはありますか？

リングを作りはじめています。シルバーの台座に、ちょっと大きなリボンモチーフが付いているリングなのですが、モード感があって、大人カワイイ感じのリングに仕上がっています。

―リングとしてはかなり大ぶりですが、存在感があって、どれもかわいいですね。具体的にリングはいつ頃から発売に？

６月頃からの予定です。パーツの使い方によってポップになったりもしますし、ステレオタイプにとらわれない素材の組み合わせをいつも目指していますね。あとは、洋服も少しやっていて、今年末くらいから来年にかけて広げていきたいなと思っています。

―そうすると、今後はトータルで？

はい。僕たち自身、『EBI』のことを「ライフスタイルブランド」と定義しているので、ライフスタイルの中で自分たちの表現できることを少しずつ発表していって、世界観を広げていきたいですね。

―お二人で相談して作るんですか？

物作りに関してはそんなに相談しないんですけど、方向性については絶対にします。中尾はけっこう保守的で実用性を重んじるので、リングを見せたときも、「ちょっと手に大きすぎない？」みたいなことを言われて（笑）。

―あははは（笑）。でも、お二人のバランスが取れていますよね。ちなみに、インスピレーションを受けるものや、手作り以外で興味のあることはありますか？

現代アートが好きなんです。価値観を多様的にするのが自分にとって大事なので。物作りも、縛られず、みんなが思ってもいないようなやり口で表現していくのが重要だと思っています。それを現代アートから感じることが多いですね。

「アミュレット」で行われた展示の様子。このときは洋服も制作、展示した。

―好きな作家は？

日本人だと川俣正さん。既存の概念に疑いを持っていて、価値観に縛られていない。かつ自分たちの人生に密接に結びつくところを提案してらっしゃるので。やっぱり生活に密接であることが大事かなと。現代アートってよくわからないことをやっているって思いがちなんですけど、それを自分なりに解決するのがおもしろいんですよ。

―たしかに。けっこう意味不明のもの、ありますものね（笑）。

ありますね（笑）。外国だとマシュー・バーニーとかもそう。よくわからないけど、惹きつけられてしまう。理想です。僕たちの作るものも、今はまだわかると思いますけど、だんだん、わからなくなっていくかもしれないですよ（笑）！

―楽しみにしています（笑）！ 最後に、夢を教えてください。

やっぱり、もっとファンタジーな生活をみんなに伝えていけたら良いなあと思っています。日々生活していて、いろんなことに縛られたり、自分を固定して生きてしまいがちですが、ファンタジーを感じることで、生活に良い変化が生まれると思うので。ちょっと人生論になってますけど（笑）。

僕たちの作ったアイテムを見て、「もっと自由に生きていいんだな」とか、「固定の価値観にとらわれずに思ったことをやればいいんじゃないかな」とか、感じてもらえたら嬉しいです。そうすれば、同じことをやっていても、まったく違う生き方になると思うんですよね。それってすごい重要なことだし。そのことをもっといろんな人に知ってもらうために、媒体を問わずいろいろやっていきたいですね。

（取材／田辺香）