ちいさなペーパークラフトに「おめでとう」の気持ちを込めて―洋梨雑貨店
2009年12月08日05時01分洋梨雑貨店/YONASHI ZAKKA TEN
美術短期大学を卒業後、2005年より「洋梨雑貨店」として活動スタート。身近にある素材・紙を使って、小さな世界を表現。家やバースデーケーキをモチーフに、贈る人と贈られる人の気持ちを繋ぐ立体メッセージカードを制作する。現在は、名古屋・キャビネットアトリエ、n.r.e.-plan、パークギャラリー、京都・Duce mix shop、大阪・茶盆、神戸・a la fete、ちいさなアトリエ*蕾にて委託販売。ホームページ:http://www007.upp.so-net.ne.jp/lafrance/
「お店で紙を手に取ったとたんに作品のイメージが浮かぶことも……」
イチゴタルトのケーキが出てくるプチガトーBOX。
「イチゴタルトが大好物なので、作るのも楽しいです」
はい。30歳を目前にデザインの勉強がしたくなり、仕事を退職して美術短大に入りました。それまでは音楽の学校を卒業し、音楽関係の仕事に就いていたのですが、同じ芸術の世界でも、また違う方面に興味を持つようになり、思い切って大学を再度受験したんです。
―お仕事を辞めて、再び学生になる、というのは勇気が必要だったと思いますが。
そうですね。少し、何かやり残した感が私の気持ちの中にあったのだと思います。家族の理解もあって、ふたたび学生となり、勉強することができました。感謝の気持ちでいっぱいです。
―「洋梨雑貨店」というブランド名は、どのようにして決めたのですか?
自分のブランドは漢字がいいな、と思っていましたので、この名前にしました。「洋梨」と付けたのは、単純に色と形が好きなので……。「雑貨店」という名前にしたので、よく「お店はどこにありますか?」とか、「作品を置いていただけますか?」なんていうお問い合わせをいただくのですが、特に店を構えているわけではないんです。アトリエは自宅の1室を利用しています。
―小さなサイズのペーパークラフトは、かなり印象的ですね。具体的に今の作品作りのきっかけとなったことはありますか?
はい。授業の課題で「誕生日ギフトボックスをつくる」という課題が出たんです。そこで、大好きなモチーフの家を立体で作ってみようと思って制作したのが最初です。それまでも、家のモチーフは好きで、紙を切り貼りして、貼り絵を作ったりはしていたのですが、この課題をきっかけに立体にしてみたんです。そして、卒業制作で紙の家をたくさん作っていたら楽しくて止められなくなり、飽きずに続けて5年目です。現在は、各地のお店で委託販売させてもらったり、クリエイターズマーケットに出展したり、展示会を開いたりして楽しんでいます。オーダー作品の制作も承っています。
―初めて作品を販売したのはいつですか?
「洋梨雑貨店」の初出展は大学の学園祭でした。お客様の反応が目の前で分かるので怖くてたまらなかったけど、初めてお買い上げいただいたときの、あの感動は忘れられません。今でも、出展するときはドキドキ緊張しています。
(左)リビングの半分を占拠しているアトリエ。 (右)2010年4月に神戸で開いた展示会での様子。 |
―さまざまな素材がある中で、紙を選んだのはなぜですか?
いちばん身近で扱いやすく、種類も豊富で値段も安いところでしょうか。良いこと尽くしですね。
―紙選びにこだわりはありますか?
あります! 質感、厚み、色、柄、模様など、めいっぱいこだわります。お店で紙を手に取ったとたんに作品のイメージが浮かぶこともあり、必要な紙なのか、そうでないかを直感で決めます。いつもわりと慎重派な方ですが、紙選びだけは別なんです。お気に入りは、アメリカで暮らしている友人にお願いして数ヶ月に一度送ってもらっている模様入りペーパー。「365日バースデーBOX」のケーキの箱の内側に使用しているのですが、繊細な柄がかわいいんです。
―現在はどのような作品をメインに制作されているのですか?
お家型の箱を開けたらケーキが出てくる、立体メッセージカードが中心です。ケーキに日付けをいれて365日すべての誕生日をお祝いできるものや、誕生日以外のメッセージにも使えるものを試行錯誤して作っています。贈る方も受け取る方も楽しんでいただける、ひとつのツールとして使っていただけたら……と思っています。