折り紙にポップな楽しさを吹き込む、cochaeのデザイン＆アイデア

2009年12月09日16時01分

cochae／コチャエ

デザイン・ユニット
“あそびのデザイン”をテーマに活動する軸原ヨウスケ、武田美貴によるデザイン・ユニット。2003年、折り紙という古典的な世界で「折紙をもっとポップに！」をキーワードに、グラフィック折り紙を制作。現在は新しい視点によるデザインで楽しさと驚きをもった玩具の開発、美術館等でのワークショップなど幅広い活動を行っている。折り紙パズル「ファニーフェイスカード」がグッドデザイン賞2008を受賞。著書に 『折りCA』(青幻舎)、『ぬりえおりがみ』(ビジネス社)、『妖怪おりがみ』 (講談社)、『百羽鶴』 (青幻舎)、『めでた尽くし』 (講談社)など。cochae(こちゃえ)の名前の由来は、二人の出身地・岡山県の 伝承民謡『備前岡山太鼓唄(こちゃえ節)』から。「こちらへどうぞ」、「こっちはいいぞ～」などさまざまな意味がある。

cochae ホームページ：http://www.cochae.com/

もっとみんながおもしろく簡単に折れる折り紙を

―お二人が折り紙で作品を作りはじめたきっかけは？

武田 はじめは3人での活動だったんです。私たちは二人とも映像をやっていたんですけど、ずっと岡山で働いている、光森くんという友人が折り紙をやっていて。彼は折り紙がすごくうまくって、軸原くんが、「もっとみんながおもしろく簡単に折れる折り紙を作れるんじゃないか」といって、折り紙に絵をつけてみたのがはじまり……だよね？

軸原 そうそう。折り紙は、技巧勝負か、知育か、リハビリかになってしまっていて、もうちょっと若い人向けにオブジェっぽくなればいいのにな、というのがあって。

武田 ちょうどフリーペーパーをつくる機会があったので、最初は写真のコラージュで、この鳥が作れる折り紙をフリーペーパーにしたんです。当時はパソコンも持ってなかったので、全部手づくりでコラージュ。コンビニのコピー機でコピーして。

軸原 この鳥、ちゃんと立つんですよ。

―へ～、すごい！

軸原 そもそもは、これがきっかけ。ちょっとしたつながりがあって、ビームスのギャラリーに、このフリーペーパーの鳥をおいていたら、一週間くらいして雑誌『装苑』の人から、“アート・ニューカマー”（※『装苑』が期待の新人として推薦し誌面で紹介する、デザイナーやクリエイターのこと）で紹介したいという連絡があったんです。それに出すために何個か作品がほしいっていうから、作らざるを得なかったという（笑）。そこから次々作っていきました。

―それが2003年くらいですか？

武田 2003年の終わりですね。2004年の『装苑』1月号にニューカマーとして出さなくちゃいけない、ということだったので、すごい急ぎで作って。全然作品がないのに、「あります」とか言ってしまったから（笑）。

―そうだったんですか（笑）。そのときにコチャエというネーミングも？ たしか、お二人のご出身、岡山県の民謡からとっているんですよね。

武田 そうです。岡山の夏祭りとかで、かかっている民謡で『こちゃえ節』っていうんですけど、それを現代風にアレンジした曲の7インチを持っていて。

軸原 めちゃくちゃダサい、ファンクバージョン（笑）。A面に岡山県民が青ざめるような歌詞の、そのアレンジ曲が入っていて、B面に実際の民謡が入っているという（笑）。

（左）最初に作ったフリーペーパー。折り方の展開図も細かく書いてあり、折ると左下にあるような鳥ができあがる。 （右）これが噂の「こちゃえ節」7インチ。かなりのレアもの！ 本当に曲も斬新！

―ぜひ聴きたいです（笑）。それにしても、けっこうなペースでいろんなものを作ってこられたんですね。

武田 仕事はなかったけど、依頼がきていたので。『装苑』が終わったら、個展をして。なにか作らなくちゃ、となって、また作って。立て続けに個展があったので、同じ作品じゃダメだから、他のものを作ろうという感じでどんどん作っていって……。

軸原 周りに突き動かされる（笑）。

―でも常にちゃんとしたテーマがあるし、完成度も高いですよね。ちなみに、お二人の役割は？

武田 役割がほぼないんですよね。でも折り方は基本的に私で、デザインが軸原くんだよね。それを投げ合いつつ、作る感じですね。できなくなったら、交代しようか、みたいな。