捨てられた傘をかわいく楽しくよみがえらせる「CASA project」って？

2007年11月01日13時01分

リメイクの楽しさを知って、生活の中で実践してもらいたい

―材料となる傘は、どんなふうに集めているんですか？

雨上がりに駅などに捨てられているものを拾ったりもしますし、大学のエレベーターの脇に「傘をください」という張り紙を貼らせてもらっているので、そこに友達が入れてくれることもありますね。小学校に呼びかけて集めていただいたこともあります。最近多くいただいているのは、保管期間が過ぎた忘れ物の傘を回収している業者さんです。この活動をすごく理解してくださっていて、好きなものを選ばせていただいてるんです。それでわりと良い状態の傘がコンスタントに入手できるので、とても助かっています。でも一番良いのは、自分が使っていた傘でつくることなので、オーダーメイドを依頼していただいた時はとてもうれしくなります。

最終的には、傘が街中に捨てられなくなる方がいいと思うんですけど、この活動を知って、そういうことに気づいてくれるきっかけになれば、それもいいかなと。……と言いつつ、普段は何も考えずに、ただ作るのを楽しんでいるだけなんですけどね。

―アイテムを作るにあたっては、どんなところから発想を？

『手創り市』などに出店していると、見てくださった方々が「これもあったらいいよね」とかいろいろと話してくださるので、そういうのをヒントに、実際に作ってみたりしますね。大学院の先生からもアドバイスをいただいています。あとは材料が傘なので、やっぱり水への強さや軽さを生かしたものを作るべきなんだろうなと思っています。たとえば、ガーデニングで使えるものを作れないかなと考えてできたのが、エプロンですね。

―作る工程で難しいところ、工夫しているところはありますか？

傘というのは、ちょっと縫いにくいんですよね。ピンと布をはった状態でミシンをかけないといけないので、ちょっとコツがいるかもしれないです。

―それにしても、使われなくなった傘が再び、いろいろな使えるアイテムに生まれ変わるなんて、ステキですよね。

単純に「もったいない」という気持ちもありますけど、昔はもっと、自分が使っていたものを違うものに変えることを、生活の中で実践していたと思うんですよ。着物をもう一度縫い直すとか。そういうリメイクの楽しさや、なにかに変える楽しさを『CASA project』を通して知ってもらえたらいいかなって思っています。

―最後に、今後の抱負をお聞かせください。

バッグの種類は形やデザインがまだまだ広がると思うので、増やしていきたいなというのと、同時に、たくさんの人たちに自分の手でも作ってほしいので、ワークショップみたいな機会を設けたいですね。以前、ペンケースを作るワークショップを開催したんですけど、いろんな年齢の方が興味を持ってくださって。年輩の方は、「私も昔は傘でいろいろ作ったものよ」ってお話ししてくださったり、子どもたちは、カラフルな色味に惹かれてか、とても楽しんでくれました。これからもそんなふうに、いろんな方々とものを作る機会を設けていきたいですね。

（取材／田辺香）