「モダン千代紙」でつくる、おしゃれで実用的な紙小物―アニャンさん

2008年12月01日15時01分

暮らしの役に立つ、実用的な作品を作りたい

―ワークショップでも小物作りをやってらっしゃいますが、小物などの形にしようというとき、アイデアはどこから生まれるのでしょうか？

まずは、「実用的」というのをひとつのコンセプトにしているんです。作ったはいいけど使えないとか、華奢すぎて触れないとか、そういうものではなくて、やはり自分が活動していく中で、人や暮らしの役に立つものを、という思いが常々あるので、実用的に使えるものはなにか、というのを考えていますね。

例えばCDケースを作っているのですが、最近は写真を撮っても焼き増しするより、メディアに入れて渡すほうが多いので、こういうケースがあったらいいんじゃないかと考えましたし、マッチ箱をリメイクしているものは、クリップなど散らかっている物を入れることができます。ティーバックの型をモチーフに作ったものは、中にポプリなど香りの出るものを入れることで、手紙に香りをつけられたり、クローゼットに入れられるものになったりもしますし。そうやって、実際にあるものからヒントを得て、別の使い道を考えることもありますね。

―どんなふうにデザインして作ってるんですか？

最終的にはパソコンでつくるんですけど、最初はえんぴつで描いたり、切り絵にして、ひとつひとつ素材としてパソコンに取り込んだものを回転させたり、色をつけたりしながら、パターンにしていきますね。

（左）ティーバッグ型のにおい袋。 （右）モダン千代紙でリメイクした容器。

―アニャンさんは犬を飼ってらっしゃるそうですが、デザインのモチーフとしても、動物が多く使われてますよね。

そうですね。アトリエがけっこう田舎にあるので、鳥が庭にやってきたり、ノラネコがいれかわり、たちかわりで来たりもするので（笑）。動物や植物は、もともと和のモチーフにも使われていましたし、動物たちをパターンに用いると楽しくなるんですよね。山猫をモチーフにしたデザインがあるんですけど、山猫は人前では暴れん坊なんだけど、実は夜になったら鳥と仲よくしてるんじゃないのかなとか、性格は悪いんだけど、本当は甘えん坊なのでは、みたいなことを想像してつくっています（笑）。

―デザインや手づくりの楽しみはどんなところでしょう？

形になって、誰かに渡したら喜ばれるかもしれないなとか、実用品として役に立つものになると楽しいですね。自分にとってだけじゃなくて、誰かにあげたら喜ばれるとか、そういうイメージができてくると、より楽しいし、嬉しいですしね。

―最後に、今後の抱負をお聞かせください。

『モダン千代紙でつくる紙小物』に掲載した柄などを形にする企画をいくつかいただいていて、そんな中から実用品に変わっていくというのは嬉しいですね。去年は絵を全然描いてなかったんですけど、いろんなことを経験した上で、もう一度描いてみるというのも楽しみではありますし、絵本製作や子ども向けの企画も挑んでみたいですね。

あとは、海外にも「モダン千代紙」を売っていきたいです。紙というのは、あんまり丈夫じゃないんだけど、そういう丈夫じゃないものに時間をそそぐというのが日本的というか、禅的な何かがあるかもしれないですよね。海外にもその魅力を伝えられたらいいですね。

（取材／田辺香）