ハンドメイドレシピと手作り情報サイト

物語が浮かんでくるような切り絵の世界―こいけひろみさん

2008年12月05日14時01分
4月に発売された『手習いパンダ』は、初心者のための簡単“パンダクラフト”の作り方がぎゅっと詰まった一冊。この本で、切り紙作品のアイデアを教えてくれている切り絵作家のこいけひろみさんを訪問。こいけさんの作品を取り扱っている、学芸大学の「陶芸サロンやまもと」にて、お話をうかがいました。

こいけひろみさん/Hiromi Koike

切り絵作家。セツ・モード・セミナー在学中よりイラストレーターとして活動を開始。切り絵に目覚めたのちは、グリーティングカード等を中心に作品を発表している。2009年4月発売の『手習いパンダ』に切り紙作品を提供。学芸大学「陶芸サロンやまもと」他にて作品取扱い中。
ブログ:ヒロミイユのひつじ~こいけひろみの切り絵ブログ~
http://hiromille.exblog.jp/

好きな色へのこだわりから始まった切り絵イラスト


こいけさんの作品。「最近は天使の切り絵をよく作ります」
―こいけさんは、昔から切り絵やイラストが好きだったのですか?

絵は物心ついたときからずっと好きで描いていました。祖父が日本画を描く仕事をしていたせいか、私の家族はとても絵が好きで、小さいころは弟と妹と一緒によくお絵描きしていました。小学生になると今度は絵の好きな子とお友達になり、しょっちゅう絵を描いて遊んでいました。いろんな友達に「こんなの描いて」と頼まれたものを描いたり……。専門的に絵を勉強したことはありませんでしたが、ずっと描くことは続けていて、大学卒業後に働いていた家具店でもお店のPOPを作ったりしていたんですね。

そしてそこで10年働いたところで、ふと、区切りというのか、「これからの人生どうして生きていく?」と考え、会社を辞めようか……などいろいろ悩んでいるときに、たまたま読んでいた雑誌に、幼少から憧れていた「セツ・モード・セミナー」が載っていて、「よし、セツで絵を描こう!」と、そこで即決したんです。

―セツ・モード・セミナーではどんなことを勉強されたんですか?

デッサンや水彩、ファッションイラストなどを学びました。とにかく最も基本的でものすごく大切なことを教えて頂いたと思います。「セツに行ってよかった……」と、今でもつくづく思っています。そのころ、私は自分の好きな色を出すのに凝っていたりして、そこから更に好きな色の組み合わせを考えるのに夢中になり、ポスターカラーやアクリルガッシュやその他いろいろな絵の具混ぜて使ったりしていました。そしてセツの途中から、「関西じゃらん」という旅行雑誌のお仕事をするようになり、「王子様の旅」という絵本を紹介する連載ページの絵を担当させていただき、水彩やポスターカラーでイラストを描くようになりました。


「関西じゃらん」で掲載された、初めて世に出した切り絵作品「あめふらし」

―そこから切り絵に向かったのは、どんなきっかけがあったんですか?

学校に行きつつ「関西じゃらん」の仕事をしながら、別のアルバイトもしていたんですね。そのアルバイト先で、掲示物やPOPの制作を頼まれることがちょこちょこあって。でも、アルバイト先で自分の好きな絵の具を持って行って使うのは難しいので、極力短時間で、自分の好きな色で仕上げるにはどうすればいいだろう? と考えたときに「切って貼る」というのが私にとってすごいスムーズだったんです。でも最初は、そうやってアルバイト先で作っているものと自分のイラストの作品はリンクしていなかったんですが、あるとき連載ページの色を何度もぬり直して汚くなって困った時に、「ちょっと切り絵でやってみようかな?」と思い、イラストを切り絵で作ってみて、担当の人に見せたら「これ、いいんじゃないですか?」ってOKをいただいたんです。印刷したときのメリハリも出たりして、そっかー、これもいいかな? っていう感じで、それから切り絵に切り替えたんです。なので、きっかけを作ってくれたのはアルバイトかも……! ですね(笑)。

―そうだったんですね! 切り絵作品を作るときは、どんなふうにデザインしていくんですか?

下書きはせずフリーハンドで切っていきます。なので「あ、こんなのができちゃった!」みたいな楽しみがありますね。イラストだと何回も塗りなおしたりしていましたが、切り絵は自分の性に合っているのか、わりとイメージを素早く形にしやすいのと、色で悩んだときに置き換えられるのがいいですね。あと、構図的にも動かすことが可能なので。「ここはどうも気に入らない!」と思ったら、大胆にぱっとはがしたりということもあります(笑)。

―材料となる紙は、どんな種類のものを使っていますか?

紙ならなんでも使います。最初は色画用紙が多かったんですけど、どんどんいろんな紙を使うようになって、今は和紙をよく使っています。日本の紙は質感も色数も限りなくあって美しいです。ときには布をカラーコピーしたり、英字新聞を使うことも。あと、色がすごいいいな、と惚れ惚れするのは、和菓子の包み紙。ぐっとくるような、きれいな色が多いですよね。模様もそのまま使ったりしますし、結構ストックしています。


作業机と材料となる紙のストック。大きな紙は、京都で購入したお気に入りの和紙製の筒に入れて保管。



1 2 >>

切り絵  , 手習いパンダ  , こいけひろみ  , パンダ  ,

最新情報をSNSでも配信中♪

twitter

このサイトに掲載された作品に関して、その作品の作者以外の方は写真やデザインを複製して販売したり、商用利用はしないでください。
個人の趣味の範囲でお楽しみいただくようお願いします。

Copyright © 2008-2024 Atelier, Inc. All Rights Reserved.