「刺繍は本当に自由なのよ」ということを伝えたい―おぐら みこさん

2008年12月06日04時01分

自分の子どもに着せたい、シンプルなデザインの商品も提案してみたい

―刺繍やイラストのお仕事以外にも、みこさんがデザインを手がけるブランドも展開してらっしゃいますよね。

ベビーの「マーインベービ」と、キッズの「プティデポーム」、それから、大人の女性に向けた「エクルラ」の3つですね。季節ごとに、これが終わったら次というように、3つが回転している間に、キャラクターの仕事をしたり、刺繍の仕事をしたりという感じですね。

―それは、お忙しいですよね。赤ちゃん向けのものを作るようになったのはなぜですか？

メーカーさんから依頼があったんです。それから布、キット、ボタンのデザインなどを始めたんですが、キッズや、大人の女性用のブランドも、ということになり、今に至りますね。

―そうなんですね。実は、作品を拝見していて、もっと以前からお子さんがいらっしゃったのかなと思っていたんです。昨年、実際に赤ちゃんがお生まれになって、変わったことはありましたか？

仕事でつくるものと、実際の子どもに着せるものとはやっぱり違いますよね。仕事では、メーカーさんの意向を汲んで、市場を見てつくるわけなので。あまり自分と似つかわしくないものは作らないにしても、やっぱり違うんだなって思います。「マーインベービ」を始めたときは、まだ子どもが生まれていなかったので、なにが必要か、どんな需要があるか、わからないことがたくさんありました。

―ちなみに、ファブリックデザインは今までどれくらいされたのでしょう？

もう、すごいですよ（笑）。先日もホビーショーで出していたんですけど、並べきれないくらいでした。

―デザインはどんなときに考えるのでしょうか？

先に描きとめることもありますが、仕事がきてから、どういう方向性にしようかと考えてから描くことが多いですね。アイテムにもよりますし。動物にしようかな、花のほうがいいのかな、とか漠然と考えることもありますね。例えば、キッズはすでにキャラクターを考えていたので、「ピクニックに行ったことにしようか」とか、キャラクターのシチュエーションを考えたりもしますね。

―赤ちゃんが生まれてから、仕事のペースはやはり変わりましたか？

ええ。生まれる前はすごいハードでした。夜までアトリエで仕事をしていて、今とは逆転生活でしたね。でも、ガラッと変わりました。特に刺繍は、子どもが寝た2時間くらいで集中してやるみたいな。幸いに私は家でできる仕事ですし、子どもが寝ている間にちょっとずつ仕事しながら、なんとか両立できたらいいかなと思っているんですけどね。

―仕事と両立させるのは、大変なことですよね。それでは最後に、これから新たに挑戦したいことはありますか？

子どもができたので、ベビー系の商品のデザインをちょっと考えています。子どもが実際にいてわかることが出てきたので。まして男の子だったもので……。今まで想像の中の赤ちゃんで、自分が女だから、偏りが出てきちゃっていたんですよ。例えば、「男の子だったら青でしょう」みたいな。それが、実際生まれてみて、全然違うんだなって思ったんです。着せたいものは、男の子は男の子なりにもうちょっとシブいほうがいいなとか。自分の子どもには、これはイヤだなとか。実際に、赤ちゃんの生地で一番売れるのは、カラフルで、カワイイが満載みたいなデザインなんですけど、私はあまりそういうのは選ばないタイプ（笑）。私みたいな男の子のママはたくさんいるんだろうなと思うので、男の子に着せたいと思うような、シンプルなデザインの商品も提案してみたいですね。


（取材／田辺香）