世界中の手芸本が集まる空間―アートブックショップ&カフェ
2007年12月03日01時01分大田陽子さん/Yoko Ota (株式会社カラーフィールド 企画営業部 部長)
外国からさまざまな掘り出しものを見つけたいという思いから、2004年、株式会社カラーフィールドに入社。現在はアートブックショップ&カフェの広報を務めるかたわら、企画営業部部長として、カタログ制作や海外での買い付けなども担当。「手芸を始めたい方は、ぜひお店に来てインスピレーションを感じてください」。地域によって、さまざまな特徴のある手芸本
吹き抜けのフロアには本棚がずらりと並ぶ
もともとは、カタログやインターネットでのみ本の販売をしていたんです。けれど、手に取って本を見ていただきたいという思いもあり、2年前にお店をオープンしました。
現在扱っているジャンルは、手芸全般のほかに、絵本、美術書、建築書などのアートブック全般。いろんな手作りフェアなどに出展しているうちに、刺繍などの手芸も人気があることがわかって、手芸全般の本を扱うようになりました。
―数ある手芸書の中で、特に人気のものはありますか?
フランスのものは根強い人気がありますね。ブームの影響で、今は北欧の本も人気です。最近は、東欧のものについても問い合わせが来ていますよ。
―同じヨーロッパでも、やはり地域によって特徴が違うのでしょうか?
図案もそうですし、色使いも違いますね。たとえば、パキっとした色が多いのは東欧。フランスはアルファベットのモノグラムのデザインが豊富ですし、北欧は雪の結晶など素朴なモチーフが多いのが特徴ですね。
初心者におすすめの3冊。左から『LETTRES』、
『Galons,broderies & fantaisie』、『BRODERIE ROUGE』
フランスの『BRODERIE ROUGE』という本は、すぐに使える赤い刺繍がモチーフになっている図版がたくさん載っていて、すごくカワイイですよ。「アートブックショップ&カフェ」で出版している『LETTRES』は、イニシャルの図案ばかりを集めた1冊。刺繍をされる方、ハンコを作られる方など、幅広い手芸で大活躍です。また、縫い目にそって縫っていくキルティングは手芸の中でも一番始めやすいと思うんですけれど、『Galons,broderies & fantaisie』は使う糸も指定してあるので、ゼロから始めたい方にはぜひご覧いただきたいですね。「手芸を始めたいけれど、どこから始めていいかわからない」という方には、針と糸と布がセットになっているフランスの本もあるので、そちらもオススメです。
情報と対話が対流する場所として
本棚は、手芸ジャンル別に本が分類されている
学生の頃から、「海外で眠っているものを掘り出したい」っていう思いがあったんです。大学ではトルコを専攻していたので、欧米だけではなく中東やトルコなどのものを掘り出したいとも思っていました。そんな時に社長と出会い、この仕事をするようになりました。
―手芸ジャンルの中でも、いろいろと掘り出しものがありそうですね。
そうなんです。トルコ手芸の「オヤ」などは、まさにそういうもので。「オヤ」とは、布に縁取りをするレースのような手芸なんです。以前、ギャラリーで現地で学んだ方が個展を開いたときには、「やっと日本にも来たなぁ」と思いました(笑)。手芸にも流行があって、お客様の情報も早いので、トルコに限らずにいろんなニーズに応えられる本を取り揃えたいですね。
―それでは、今後のお店の目標は?
手芸をされる方々のコミュニケーションの場や、併設しているギャラリーで情報を発信していけるような場にしていきたいと思います。“手芸と本”をキーワードに、今後もいろんな企画をやっていきたいですね。
(取材/高本亜紀)
アートブックショップ&カフェ
東京都千代田区神田神保町3-19 U・I 九段下ビル1F
TEL:03-3230-1811 FAX:03-3230-1812
営業時間 10:30~18:00(月~土曜日)
定休日 日曜・祝日
次のページから、アートブックショップ&カフェにゆかりのある3名の作家さんをご紹介します。